マドロスさん、ご存じですか?

有本芳水の詩集『旅人』に誘われて

今日は手元にある本で、旅へ思いをめぐらせるものをと思い立ち、目についたのが、明治生まれの詩人、有本芳水の『旅人』でした。その書名と函入りの小さな本のたたずまいにひかれて昔買った古本で、自身とりたてて、詩にも、詩人にも詳しいわけではありません。

そのなかに、「港にて」があります。

港にて
港の丘の旅館にて
はるばると見やる朝の海。
船の旗風になびきて
港には何ごともなし。
港の町をゆく行くマドロスの足どり
ふと立ちどまり海を見る時。
異国の船のかなしき汽笛
岬のかなたよりひびき来る。

有本芳水『旅人』「港にて」

潮の匂いが風にのって漂ってきそうな、いかにも波止場をイメージさせてくれる詩です。

この詩を初めて読んだとき、わたし、「マドロス」が、何のことかわからなかったのです。

ググってみると、水夫、船乗りとありました。

おぉ、そうなんだ。

さらに、見ていくと、『ひばりのマドロスさん』と出てきました。ひばりとは、美空ひばりのこと。港とマドロス、その言葉の響きだけで情景がパッと浮かび、ひばりさんの歌にもぴったりです。

wikiによれば、1954年、美空ひばりさんはこの曲をひっさげて、初めて紅白歌合戦に登場したとあります。

マドロスを題材にしたひばりさんの曲はほかにもあり、ひばりさんだけでなく、歌謡曲のなかには、「マドロス歌謡」なる言葉まであります。

岡晴夫の『憧れのハワイ航路』や、「『昭和の日』に贈る 世界の〝かの地〟へ誘われる昭和歌曲ヒットパレード」でご紹介した津村謙の『上海帰りのリル』もそうで、戦前のディック・ミネ『波止場がらす』(1935年)から、石原裕次郎の『夜霧よ今夜も有難う』(1967年)、鳥羽一郎の『兄弟船』(1982年)まで脈々と連なっているようです。

今もこんな方がいらっしゃいます。

腹綿腸次郎のことはご存じの方もいるでしょう。

まあ、ご覧ください。(笑)

オイオイマドロスさん 腹綿腸次郎

腹綿腸次郎ことカールスモーキー石井さんの故郷は北茨城の大津港であり、港町で繰り広げられたドラマは、彼の中に刻まれているのかもしれません。

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