旅と本とマレーシアーはしがき1 

これまで個人的にSNS上で何かを発信したことはありませんが、旅の本屋をネットで始めるにあたり、仕事としてなら、多少別のペルソナのような感覚もあり、こうしてブログを開設しました。

何もこんなときに旅の本屋を、というムキもあろうかと思いますが、こんなときだからこそ、家で本を手にとり、時空を超えて世界の町々を紙上で訪ねたり、世界について思いをめぐらせたりしていただければと。

旅の本屋、ですが、それはなんぞや、という話ですが、旅先でふれるさまざまなこと、旅文化を題材にした本を扱います。もっと申し上げると、たとえば、海外旅行に出かけると、世界遺産を観光することもあるでしょう。それが街でも、建築でも、何かしらその土地の風土と結びついた歴史を持っています。また美術館に行って、土地の芸術にふれたり、音楽鑑賞したり、宗教建築を訪ねたりすることもあるでしょう。もちろん食事もするでしょうし、土地ならではの工芸品のお土産を買うこともあるでしょう。旅に出ると、日常生活を離れて、歴史、芸術、音楽、建築、食などなど、日本とは別の文脈にある様々な事象に出会えます。それらについて書かれた本を置いています。

いつかの旅の予習に、復習に。

店名は、ラテン語で「道」を意味する「via」と申しますが、英語の意味で日常生活の中でちょっとトランジット、経由していただいて、旅先を、翻っては日本を、他人を、そして自身をちょっと違う視点から眺められる、そんな本との出会いがあれば、とてもうれしく存じます。

旅行に出かけるのにガイドブック一冊あれば事足りますが、せっかくお金をかけて旅行するなら、もっと広く、深く味わったほうがコスパはいいに決まっています。普段仕事をしていると、出かける前は慌ただしくて、本の一冊も読めやしないですが、旅の道中、出かける前にはまったく視界に入っていなかったけれど、ふと目に入ってきたものや印象に残ったこと、帰ってきて旅を振り返ったときに、あれはなんだったのだろうと思ったことにあたってみると、もっとひとつの旅が広がっていきます。言わずもがなとことではありますけど。

たとえば自身、一昨年にマレーシアのペナン島へ妻と旅をしました。

ペナン島ジョージタウン ライト通りに立つ1883年建造のタウンホール。
さんさんと降り注ぐ太陽の下、クリーム色の瀟洒な建物が眩しかった

年末年始の慌ただしい期間の旅行ですから、近場のアジアが旅行先の候補に上がります。自身はアジアのいくつかの国には出かけたことがあり、同じ国に出かけるならよりディープな旅行がしたいと思うタチです。ところが、妻のほうはアジアにはほとんど出かけたことがありません。普通の場所にしてくださいね、と念を押されます。仕方なしにバリ島のウブド辺りで、本でも読みながら、のんびり過ごそうかと調べ始めてホテルを押さえようというところまでいったように記憶にしていますが、何か思うところがあり、取りやめにして、もう一度旅行先を検索していたときにヒットしたのが、マレーシアのペナン島でした。

そういえば、ペナンも「プラナカン」の拠点のひとつだったな、と。数カ月前に読んだ『プラナカン 東南アジアを動かす謎の民』(著・太田泰彦/日本経済新聞社)と結びついたのです。

マレーシアには行ったことがありませんでした。エッジが効いていないというか、当時はいまいち食指が動かなかったからです。他方「プラナカン」という言葉や存在は以前から知ってはいました。

母から娘へビーズ細工は伝えれられました

中国大陸からマラッカ海峡に面したマラッカやペナン、シンガポールに渡った華人と現地のマレー人との間に生まれた子孫のことを指します。ただその言葉は、日本では、その文化の一端であるパステルカラーのビーズ刺繍や雑貨とセットになっています。プラナカンの女性は、伝統のニョニャ料理やビーズ細工を母から教わり、代々受け継いでいきました。そのエッセンスをまぶした雑貨が土産物として、女性に人気です。

そんな、かわいい、パステルカラーに染められた〝プラナカン〟を形容するのに、「東南アジアを動かす謎の民」とはそぐわないじゃないですか。書店で目にして、思わず手に取ったのです。

つづく

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